キメ細やかで丈夫。美しいツヤを出す、神秘の革「コードバン」
コードバンとは
コードバンとは、農耕用の馬のお尻の一部分から採れる革のことをいいます。現在では農耕用の馬は生産されておらず、食肉用としてヨーロッパ地方(主にフランス)でごく少数生産されています。コードバンは、どの馬からも採れるわけではなく、サラブレット等の馬にはコードバンはありません。限られた種類の馬(比較的大きな馬)から採れる皮の、更にごくごく一部から副産物として生まれている非常に希少性の高い素材です。
コードバンの由来は一般的に「コルトバ(地方)産」であるところから、と言われていますが、コードバンの起源が記されている文献は未だ見つかっておらず、その由来が果たして正しいのかどうか実際は不明です。
コードバンは鉄分が豊富であり、繊維が細かい為あらゆる皮革の中で最も傷がつきにくく、表面がきめ細かいのが特徴です。また、磨くと独特の美しいツヤが出ます。手触りの硬いイメージがあるかと思いますが、予想に反してコードバンはとてもしなやかなのです。
美しく丈夫で長持ちする、だけど手触りはしなやかで繊細、という、一見矛盾しているような2つの長所を見事併せ持ったコードバン。完璧なクオリティを誇るコードバンは、「革の王様」、「幻の革」、「革のダイヤモンド」など様々な呼び名を持ち、高い人気を維持しています。
昨今では小物などでも活躍していますが、主にランドセルや海外では靴の素材として昔から有名です。
小さい頃背負っていたランドセルの感触を覚えているでしょうか?なめらかでしなやかな手触りだけど、どんなに振り回してもビクともしない強さ。馬が身を守るために進化したコードバンから、幼い背中に馬の優しいぬくもりを感じていたのかもしれません。
コードバンの採取方法
コードバンは馬のお尻の艶やかな表皮の下の層を指し、通常の革素材のように表面は使用しません。
牛革などでは銀面と呼ばれる革の表面を使用しますが、コードバンは革中心部の最も丈夫でなめらかな部分をタンニン※1で3ヶ月以上なめし、表と裏から慎重に削り、組織の更に中央部にある緻密な繊維を削りだします。
この繊維は厚さ2mm弱程度の層となっており、更に磨くように丁寧に削り層だけを残します。これを「コードバン層」と呼びます。この層はドロップ型の眼鏡に形状が似ており、革業界では「メガネ」と呼ばれています。層を取り出しても傷が多く片側が欠けたものがほとんどであり、傷の無い綺麗な「メガネ」は特に貴重です。
またコードバン層は硬い表皮に守られており、キメが細かく非常に丈夫。革の中に眠るコードバン層を丁寧に磨くように削り出すことから、「革の宝石」とも呼ばれています。
このキメ細かさ、丈夫さは、馬が身を守るために進化したものと言われています。
1頭から採れるコードバンは、牛革と比べると非常に少なく、また製造に約半年を要します。
馬自体の生産量も現在では月間数千頭と非常に少ないもので、年々入手が困難になってきています。
更にコードバンを「なめす」ことができるタンナーは日本とアメリカにそれぞれ1軒づつしかない為、希少性の高い貴重な革となっています。

コードバンの特徴
コードバンは特別な革です。
わたしたちが日々最も多く触れる革・牛革と比較して、その特徴をご紹介いたします。

| コードバン | 従来の牛革 |
|---|---|
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なめし技術について
- ※1 タンニン
- 植物性剤を用いたなめし手法。古くからある手法であり、化学薬品を一切使わない為環境に優しいのが特徴です。また、自然の力で素材自体を丈夫にし、摩粍に強くするというメリットもあります。
自然の摂理に従ったなめし方法であり、製造過程で出るゴミも土に還る為廃棄物も出ません。 - ※2 クローム
- 化学薬剤によるなめし方法。現在では主流となっているなめし方法です。「三価クロム」を使用し、コラーゲン繊維と結合させるため、化学変化が起こり、有害物質として広く知られる「六価クロム」が残留物質として残ります。ただし、タンニンよりもコストがかからず、また革自体も化学物質に変化するため腐ることはありません。その為、製造過程で出たゴミはいつまでも残り、更に環境への悪影響が懸念されています。

